今年も鹿児島県神社庁から鹿児島の夏の風物詩、六月灯の日程が発表されました。
7月1日鹿児島市の八坂神社から、8月5日の霧島神宮まで続いていきます。

2025年7月に開催される六月灯日程
1日 火曜日
八坂神社(清水町祗園之洲)
2日 水曜日
船魂神社(鹿児島市新屋敷町)
山宮神社(鹿児島市持木町)
姫宮神社(鹿児島市野尻町)
3日 木曜日
稲荷神社(鹿児島市稲荷町)
稲荷神社・厳島神社(松原神社境内)
5日 土曜日
水神社(鹿児島市桜島松浦町)
6日 日曜日
南方神社(鹿児島市清水町)
9日 水曜日
一之宮神社(鹿児島市郡元二丁目)
若宮神社(鹿児島市池之上町)
伊佐智佐神社(鹿児島市和田町)
豊玉姫神社(南九州市知覧町)
10日 木曜日
三船神社(鹿児島市吉野町)
11日 金曜日
塩釜神社(鹿児島市谷山塩屋町)
大国主神社(鹿児島市金生町)
12日 土曜日
大国主神社(鹿児島市金生町)
13日 日曜日
柏原神社(鹿児島市谷山中央二丁目)
14日 月曜日
塩竃神社(鹿児島市新屋敷町)
吉満神社(鹿児島市田上町)
15日 火曜日
照國神社(鹿児島市照国町)
八幡神社(鹿児島市田上町)
諏訪神社(鹿児島市小山田町)
千石天神神社(鹿児島市東千石町)
鎮守神社(鹿児島市吉野町)
若宮神社(肝属郡南大隅町)
益救神社(熊毛郡屋久島町)
16日 水曜日
照國神社(鹿児島市照国町)
多賀神社(鹿児島市清水町多賀山)
千石天神神社(鹿児島市東千石町)
伊勢神社(鹿児島市下伊敷町)
小鷹神社(鹿児島市下田町)
17日 木曜日
南洲神社(鹿児島市上竜尾町)
小鷹神社(鹿児島市下田町)
18日 金曜日
枚聞神社(指宿市開聞十町)
南洲神社(鹿児島市上竜尾町)
鶴嶺神社(鹿児島市吉野町磯)
鹿児島神社(鹿児島市草牟田二丁目)
神明神社(鹿児島市宇宿町脇田)
黒丸神社(鹿児島市山田町)
尾地底神社(鹿児島市桜島町赤生原)
19日 土曜日
八坂神社祗園祭(前夜祭)(鹿児島市)
建部神社(鹿児島市武二丁目)
手貫神社(垂水市本城)
白嶺神社(大島郡徳之島町)
20日 日曜日
八坂神社祗園祭(鹿児島市)
白山姫神社(鹿児島市吉野町)
愛宕神社(姶良市脇元)
鹿児島神社(垂水市南松原町)
熊野神社(熊毛郡中種子町)
小烏神社(姶良市東餅田)
伊勢神社(姶良市加治木町)
21日 月曜日
菖蒲神社(鹿児島市吉野町)
加紫久利神社(出水市下鯖町)
切目王子神社(垂水市柊原)
22日 火曜日
日枝神社(鴨池一丁目・常盤町・原良町・小野町・川上町)
23日 水曜日
松原神社(鹿児島市松原町)
塞神神社(鹿児島市谷山中央四丁目)
川上天満宮(鹿児島市川上町)
24日 木曜日
愛宕枚聞神社(鹿児島市桜島町赤水)
25日 金曜日
照國神社三公銅像(鹿児島市照国町)
荒田八幡宮(鹿児島市下荒田二丁目)
小烏神社(鹿児島市桜島町小池)
烏帽子嶽神社(鹿児島市平川町)
菅原神社(鹿児島市吉野町磯)
26日 土曜日
八坂神社(垂水市本町)
高千穗神社(奄美市名瀬井根町)
27日 日曜日
南方神社(鹿児島市桜島町武)
春日神社(鹿児島市春日町)
南方神社(鹿児島市上福元町)
神貫神社(垂水市新城)
老神神社(垂水市牛根境)
高千穗神社(奄美市名瀬井根町)
28日 月曜日
鹿兒島神宮(霧島市隼人町)
諏訪神社(鹿児島市西別府町)
伊邇色神社(鹿児島市下伊敷町)
南方神社(枕崎市鹿篭麓町)
29日 火曜日
鹿児島県護國神社(鹿児島市草牟田二丁目)
白山比咩神社(鹿児島市中山町)
嚴島神社(出水市上大川内)
30日 水曜日
鹿児島県護國神社(鹿児島市草牟田二丁目)
月讀神社(鹿児島市桜島町袴腰)
31日 木曜日
新田神社(薩摩川内市宮内町)
蒲生八幡神社(姶良市蒲生町)
2025年8月に開催される六月灯日程
5日 火曜日
霧島神宮(霧島市霧島田口)
※天候による延期中止も想定されます、最新の日程は各神社へお問い合わせください。
参照元:鹿児島県内の主な神社の『六月燈・夏祭り』のご案内(令和7年)(鹿児島県神社庁)
六月灯について
鹿児島の夏の夜を彩る光の祭典「六月灯」
鹿児島の夏、夕暮れ時から神社や寺院の境内に、和紙を通した柔らかな光が無数に揺らめく光景は、県民にとって夏の訪れを告げる原風景です。これが、鹿児島独自の夏の風物詩「六月灯(ろくがつどう)」です。神仏への感謝と人々の祈りが込められたこの光の祭典は、鹿児島の歴史と文化を色濃く反映しています。
六月灯の起源と歴史
六月灯の起源は、江戸時代前期に遡るとされています。最も有力な説として語り継がれているのは、薩摩藩第19代藩主であった島津光久(しまづ みつひさ)公が、寛文元年(1661年)に鹿児島城下にあった新昌院(上山寺)の観音堂へ、疫病退散と五穀豊穣を祈願して灯籠を寄進したのが始まりというものです。
当時、旧暦6月18日は観音様の縁日とされており、この日に合わせて灯籠を掲げたところ、その美しさが評判を呼びました。やがてこの風習は、他の寺社へ、そして武士や庶民の間へと広まっていったと伝えられています。
明治時代に入り、政府の神仏分離令や廃仏毀釈の動きの中で、寺院で行われていた六月灯は一時的に衰退の危機に瀕しました。しかし、その後は主に神社の夏祭りとして形を変えながら地域に深く根付き、今日まで大切に受け継がれています。旧暦の6月に行われていたことから「六月灯」の名が残りますが、現在では新暦の7月1日から1ヶ月間を中心に、県内各地の神社や寺院がそれぞれの縁日に合わせて開催しています。
灯籠に込められた祈りと祭りの賑わい
六月灯の最大の魅力は、境内を埋め尽くすように奉納された多種多様な「灯籠」です。木枠に和紙を張り、そこには勇壮な武者絵や優美な美人画、七福神といった伝統的な絵柄から、地元の偉人、子どもたちが描いた可愛らしいイラスト、さらにはその年々の世相を反映したユニークな絵柄やアニメのキャラクターまで、実に多彩な絵が描かれています。
これらの灯籠は、氏子や地域住民、地元の企業などが、家内安全、無病息災、商売繁盛といった様々な願いを込めて奉納したものです。日が落ち、一つひとつの灯籠に明かりが灯されると、境内は一気に幻想的な雰囲気に包まれます。
祭りの期間中、参道には多くの露店が軒を連ね、浴衣姿の家族連れや若者たちで賑わいます。射的や金魚すくいを楽しむ子どもたちの歓声があちこちから聞こえ、特設された舞台では、歌や踊り、郷土芸能などが次々と奉納され、祭りを一層盛り上げます。
かつては、灯籠を奉納した親戚や知人の家を訪ね、焼酎などを酌み交わしながら夜を明かす「灯籠見舞い」という風習もあり、六月灯が地域コミュニティの絆を深める重要な役割を担っていたことがうかがえます。
現代に受け継がれる鹿児島の心
7月になると、鹿児島県内では毎晩のようにどこかの神社や寺院で六月灯が催されます。特に、鹿児島市中心部に鎮座する照国神社の六月灯は県内でも最大級の規模を誇り、数千もの灯籠が境内を彩る様は圧巻です。
六月灯は、単に夏の夜を美しく飾るイベントではありません。それは、江戸時代から続く藩主と民の想い、神仏への深い信仰心、そして家族や地域の安寧を願う人々の祈りが幾重にも重なり合って形成された、鹿児島の「心」ともいえる文化的遺産です。
もし夏に鹿児島を訪れる機会があれば、ぜひこの温かく幻想的な光の祭典に足を運んでみてください。薩摩の夜風に揺れる無数の灯籠に込められた、人々の切なる願いと感謝の心を感じ取ることができるでしょう。